森林に囲まれた木工の発信地『もくもくハウス』

森林に囲まれた木作りの建物『もくもくハウス』

森林と生きる町

宮城県の北東部に位置する津山町、合併前は本吉郡に属しており、
平成17年の町村合併により登米市となりました。
町の面積の約8割が山林に囲まれた、林業を主体に植林から加工までを一手に担う森の町です。
津山木工芸品業協同組合の営む『もくもくハウス』は地元産の木材から、
様々な生活用品の製作から販売を行なっており、15人の工人と販売員たちで運営しています。
その中から代表して、工人の菊地覚さんに話を伺いました。

『工人』の”技”と”思いやり”

木工品の製作を行う『工人』となるには、特別な資格は必要なく、
既存のデザインの商品加工であれば、早い人は1年ほどで
身に付けることができると言います。
しかし、設計から製作まで、ひと通りの作業をこなす一人前と呼ばれるようになるには、
どんなに早くても2~3年は必要になるそうです。

津山木工芸品業協同組合が製作に取り組む『矢羽(やばね)細工』は、地元産の
杉の木を使った集成材から作られる、文字通りの矢羽の形をした模様の工芸品です。
量産が難しく、同業者の間では「製品化はできないだろう」と囁かれてきましたが、
津山木工芸品業協同組合が初めて量産を可能にし、製品化に成功しました。
接着には人や環境に配慮された害のない安全なものを使用しており、
塗装も植物油から作られた、天然の上塗り剤が塗布されています。
アレルギーに悩まされているお客様も、安心して使うことのできる
工人の”技”と”思いやり”が詰まった代物なのだと感じました。

森林と木工について語る菊地覚さん          伝統的な地域の木材加工『矢羽(やばね)細工』

ぬくもりのおくりもの

震災前に「小さなお子さんからお年寄りまで」というテーマで、
東北工業大学と共同で新商品開発の取り組みが行われていました。
新作発表会の当日は、商品の製造や設計に協力していただい方を招いて、
催される予定でしたが、東日本大震災に見舞われて発表は中止になり、
新商品は日の目を見ることはありませんでした。
その年は震災の影響で、観光地である南三陸町へ向かうお客様が激減し、
中継地点である『もくもくハウス』は売上が大きく低迷し、存続の危機に立たされました。
しかし、ボランティアの励ましや企業からの助力(キャンペーン商品の器用など)を受けて
危機をなんとか乗り越えることができました。

新商品として発表される予定だった健康器具は、
避難所に身を寄せているお年寄りに試験的に使用してもらい、
エコノミー症候群の予防に役立てました。
避難所を何度も訪れているうちに「がんばって下さい!」と
被災者の方を励ますつもりが、逆に励まされたこともあったと言います。

宮城学院女子大学から相談を受け、東日本大震災で被災された沿岸の
保育園や幼稚園へ復興支援する『みやぎわらすっこプロジェクト』に協賛しました。
全国から寄せられた義援金により、こどもたちの遊ぶ木製品のキッチンセットや、
パーテーションなどが、南三陸町や亘理町など数か所にボランティア団体の手を通じて、
送り届けられ、こどもたちに元気を与えました。
こどもたちに、直接会う機会はありませんでしたが、プロジェクトに携わった
ボランティアの方から「こどもたちはとても喜んでいましたよ」と
知らせを受けています。

お客様のこだわり

ひと昔前は、ご祝儀の引き出物などに利用されることが多かったのですが、
年々、消費者ニーズも変化してきていて、近年は女性のお客様が多く、
プレゼント用に家族や親しい友人に、小物や食器など購入して行かれるようです。
沢山の商品の中でも、家具は殆どがオーダーになっており、
店自体がカタログの様になっていて、品物の吟味にたびたび、
足を運ぶお客さ様もいらっしゃり、自分で選んだお気に入りの調度品だからこそ
愛着を持って使う方が多いようです。

工人たちの手作業によって作られるオーダーメイドの家具たち

ぬくもりを伝えていくために

地球の限りある資源である、森林は循環によって保たれています。
植林・手入れ・伐採・加工の一連のサイクルのバランスが崩れてしまうと
森林が持つ自然の回復力を超え、空気がよどみ、水が濁り、そして農作物にも大きな被害を与えます。
森林は水を山に貯蓄して、安定供給してくれる天然のダムのような役割を果たしていますが、
他の国では森林伐採による砂漠化が問題になっています。
環境整備を怠ると大雨による土砂災害、日照りによる干ばつなど著しく人の生活に
悪い影響を及ぼします。
『もくもくハウス』では、木をもっと身近に感じてもらうために、
木工の体験教室を開催して、将来を担うこどもたちに森林の大切さを伝えています。
「樹木は家族と一緒で、生きていくために必要な資源を授けてくれます。
共生することによって、ぬくもりや安堵感を与えてくれますし、
木の温もりをもっと伝えて行きたいですね」菊地覚さんはと語っていました。

みんなに木のぬくもりを伝えて行きたいと笑顔で語る菊地さん

編集後記

自分達の身の回りにある水や空気は、当たり前にある物ではなく、自然から分け与えられている物です。森林と人間が共存して行くためには、お互いに支えあい、良い関係を保ち続けていくことが、今現在の私たちのためにも、これからの未来のこどもたちのためにも大切なことだと気付かされました。

菅原 悟

店舗情報

店舗名 クラフトショップもくもくハウス
住所 宮城県登米市津山町横山字細屋26番地1
電話番号 TEL:0225-69-2341 FAX:0225-69-2171
ホームページ クラフトショップもくもくハウス
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